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8月の絵本-その2

8月の絵本-その2_e0016830_1928143.jpg  「木」
佐藤忠良/画 木島始/文
福音館書店 税込840円

 2001年2月号の「こどものとも」で発行され、定期購読以外でもたくさん売れた絵本で、傑作集として7月に出ました。
 まず、彫刻家の佐藤忠良さんが木をスケッチしている白黒写真、そしてそのスケッチから一本の木がいろいろなことを話しかけてきます。
 力強い鉛筆のスケッチがすばらしく、一本の老木の内部に力が溜められ、根っこから枝の先、こぶまで生きている証を見せてくれます。そして最後のページは、新しい緑のはっぱのなかで、大きくうでを広げて堂々とそびえる木がページをはみ出し、大迫力。
 夏休み、旅先で大きな木をみつけたら、じーっとながめてみたり、抱きついてみたりしてみて下さい。命の音がきっと聞こえてきます。

 今、ちひろ美術館・東京では9月11日まで『佐藤忠良といわさきちひろ−共鳴するまなざし−』展を開催中です。土曜日にはえほんのじかんや、ギャラリートーク、探検ツアーもあるので、子ども連れでも大丈夫。くわしくはHPをご覧下さい。
http://www.chihiro.jp/top.html


8月の絵本-その2_e0016830_19303038.jpg「星と伝説」
野尻抱影/著
偕成社文庫 税込735円

 夏は夜空を見上げる機会も多いですね。そんな時、星座を探しながら、物語を聞いてみると、空が大きな別の世界に見えます。白鳥が天の川を渡り、大熊、子熊の親子が北極星をはさんで、しずむことなく天空をまわり、天頂には怪力ヘルクレスがこん棒を持って竜を踏みつけています。こんな壮大な世界を昔の人は考えました。ギリシャ神話だけではなく、中国や日本など、世界各地の星座の物語を集めたロングセラーの本が、7月にハンディな文庫版で出版されました。自分で読んだり、読んでもらったり、小学生から楽しめる読み物です。


8月の絵本-その2_e0016830_22302983.jpg「ピアノ調律師」
M.B.ゴフスタイン/作 末盛千恵子/訳
すえもりブックス 税込1890円

 デビー・ワインストックはピアノ調律師のおじいさんと住んでいます。ピアノの調律では世界一といわれるおじいさんは、両親を亡くしたデビーをとても可愛がっていました。そしてデビーにピアノ演奏家になって欲しいと思っていました。
 二人の生活がやさしく丁寧に、文章と絵で描かれ、おじいさんの仕事にあこがれているデビーの心の内が少しずつ明らかにされていきます。
 子どもは大人との暮らしの中から、必要なものを汲み取る天才です。成長期に素直に尊敬できる大人と出会うことが、将来の夢に繋がったり、生きる力になっていきます。そんな子どものひたむきさに出会う時、じっくりと子どもの心を見つめていくためにも読んでおきたい一冊です。
by teal-green | 2005-08-11 18:12 | コガモ元店長の絵本屋日記


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