9月14日(月)第37回 読書会:本のタネ 探検倶楽部 

 9月8日(火)〜10月2日(金) 
     なかじまかおり「おつきさまのうた」と夜のものがたり 
開催中!

 9月14日(月)第37回 読書会:本のタネ 探検倶楽部がありました。
今回のテーマの本は『走れ、走って逃げろ』でした。
戦後70年を迎える今年は、アウシュビッツ捕虜収容所開放70周年にもあたります。この本は8月15日から公開されている映画「ふたつの名前を持つ少年」の原作本です。 

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ウーリー・オルレブ/作 母袋夏生/訳 岩波少年文庫 本体720円

 舞台は第二次世界大戦下のポーランド。ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の手を逃れ、ワルシャワのゲットーから脱走し、過酷な運命に立ち向かいながら、たった一人で生き抜いた8歳のユダヤ人少年スルリックの物語です。実話が元になっています。

 スルリックは名前を変え、ユダヤ人であることを隠してキリスト教徒のポーランド孤児として4年間を生きのびました。森を放浪する時には、苔の生え方を見て歩き、きのこやベリー類を食べ、パチンコで鳥を射落としガラスのかけらをナイフ代わりにし、虫眼鏡で火をおこす。農家で働くときはいわれた以上のことをきちんとこなす。その様子はまさにサバイバルで、運命を自らの力で切りひらいていく強い意志が伝わります。お父さんとの「おまえは生き残らなくちゃいけない。どうしても、だ。」という約束を守るため生き抜くのです。

 当店の読書会は、「本のタネ 探検倶楽部」といって、参加者が各自テーマの本を読み、お気に入りの言葉(本のタネ)を選んで語り合っています。
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花びらに見立てた用紙にそれぞれのお気に入りの言葉を書きます。この日も大輪の花が咲きました。
今回は、『走れ、走って逃げろ』の翻訳者の母袋夏生さんが参加してくださいました。
著者のウーリー・オルレブさんもスルリック少年と同じ時代を生きていて、同じゲットーでもしかしたらすれ違っていたかもしれないとのことを伺いました。
母袋さんからホロコーストのことやあたたかい人柄のオルレブ夫妻のこと、ドイツやイスラエルの教育の話などを興味深く伺いました。そして、オルレブさんが今回の映画へ寄せたメッセージを読んでくださいました。
母袋さんのお話を伺い、この『走れ、走って逃げろ』で戦争やホロコーストの悲惨さが描かれている一方、知恵と力を尽くしてサバイバルしていくたくましい少年の姿に明るいものを感じるのは、オルレブさんの大げさな表現をおさえた淡々とした筆致によるものであり、ホロコーストの時代を伝える記録性の高い作品となっていることがよくわかりました。
母袋さんの、この本を翻訳している時、ご自身にも辛いことがあったのですがこの本に励まされたというお話が心に残りました。
また、皆さんが映画を観てきていたので、映画の話でも盛り上がりました。
映画もおすすめですよ。

この日はユダヤ暦の元旦だそうで、そのような大切な日に母袋さんからお話を伺うことができ、一冊の本を深く読み込むことができたのは幸せなことでした。
母袋夏生さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
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by teal-green | 2015-09-14 23:51 | 村長の日記2015 | Comments(0)


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