3月12日(木)上遠恵子さんのお話を聴く会

久しぶりに穏やかなお天気に恵まれた3月12日(木)の午前中、「レイチェル・カーソン日本協会」会長でありエッセイストの上遠恵子さんをお迎えして、「上遠恵子さんのお話を聴く会」が開かれました。
1月に告知したとたん、たくさんの方から参加申込みをいただき、この日30名近い方にお越しいただきました。埼玉、相模原など遠方の方もいらしてくださり、レイチェル・カーソンや『センス・オブ・ワンダー』への関心の高さをあらためて知りました。
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まず、上遠さんとレイチェル・カーソンとの出会いをお話ししてくださいました。

 上遠さんとカーソンとの出会いは、東京薬科大学を卒業し、大学の研究室にいた頃、昆虫学者であるお父さまから手渡されたのが『Silent Spring』(1962年)で、これが『沈黙の春』とレイチェル・カーソンという名前を知った最初だそうです。その後、1970年に『Since Silent Spring』(フランク・グレアム著 『サイレント・スプリングの行くえ』同文書院)が出てその翻訳のお手伝いをした時にカーソンの人となりや生い立ちを知ると、上遠さんの境遇とよく似ていることから親近感をもちました。「動機は感傷的なものだったんですよ」と微笑む上遠さん。その後、もっと詳しいことを知りたいとアメリカに手紙を出し、『House of Life : Rachel Carson at Work』(ポール・ブルックス著)を翻訳し1974年に『生命の棲家』(新潮社 その後『レイチェル・カーソン』に改題)をだしました。それから、『潮風の下で』(岩波書店)『海辺』(平凡社)『センス・オブ・ワンダー』(91年 祐学社、96年 新潮社)などの翻訳をはじめ、カーソンを皆に伝えたいと活動を続けています。

次にカーソンの生い立ちと『センス・オブ・ワンダー』の話になりました。
私がとくに印象に残ったことをお伝えしたいと思います。
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レイチェル・カーソン/著 上遠恵子/訳 森本二太郎/写真 新潮社 本体1400円

 カーソンが幼い頃、牧師の娘で教師の資格をもつ知的な女性であったおかあさんはカーソンと一緒に森を散歩し、自然界の仕組みについて体験的に教えてくれました。カーソン自身のセンス・オブ・ワンダー(不思議さに、目を見はる感性)は幼いときにおかあさんと一緒に育まれたものであったのです。

妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちがすんでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。(P.23〜24)

そばにいる大人のひとりがおかあさんであることは幸せなことです。
幼い頃から、地球は人間だけのものではなく、自然界の生き物は皆がそれぞれ関わりながら助け合って生きていることを教えてもらい、彼女自身の“センス・オブ・ワンダー”を培ってきたからこそ、科学技術が発展し豊かさの時代に自然破壊というかげの部分を感じとる力があったのです。『沈黙の春』でバッシングにあったときでも、上遠さんのおっしゃる「“いのち”に軸足を置いた信念」があったので乗り越えることができたのです。

わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないとかたく信じています。
 子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
 美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。(P.24〜25) 

これこそ『センス・オブ・ワンダー』のメインテーマです。
私たち大人は、子どものつぶやきや感動や疑問を受けとめ、ともに寄り添い分かち合う存在でありたいと思います。
子どものセンス・オブ・ワンダーを育てるためには、まず大人自身がセンス・オブ・ワンダーを持つことが大切なのです。
自然豊かなところに行かなくても、身近なところで一カ所をきめておき、毎日定点観測するのも、自然を仲立ちに親子の会話がすすみますよとのアドバイスもいただきました。

上遠さんが日本のノーベル賞受賞者の朝永振一郎博士の言葉を教えてくださいました。
不思議だなと思うこと、これが科学の芽です。
 よく観察したしかめる、そして考える、これが科学の茎です。
 そして最後に謎がとける、これが科学の花です。

これもまさしく『センス・オブ・ワンダー』の世界ですね。素敵な言葉です。

そして、最後に上遠さんが朗読してくださった文章は、
地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。
 地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることでしょう。」(P.50)

不安でいっぱいの今の時代に励ましとなる言葉です。
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上品で優しい笑顔が素敵な上遠恵子さん。上遠さんを通して、本質を見抜くカーソンの言葉をたくさん伺うことができました。レイチェル・カーソンと上遠さんがかさなって見えました。
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上遠恵子/著 翔泳社 本体1500円

2014年の7月にでた上遠さんの新刊です。
海洋学者で作家でもあるレイチェル・カーソンの生き様とカーソンが遺した言葉の数々を伝えています。
『沈黙の春』でカーソンが提起した問題は、東日本大震災、福島第一原発事故など、没後50年を経た現在も警鐘をならし続けています。今一度、カーソンの言葉に耳を傾けたいと思います。

この日、ティール・グリ—ンは「レイチェル・カーソン*カフェ」となりました。参加者の皆さん、メモをとりながら真剣に聴かれる方ばかり。ティータイムでも原発事故の話題などもあがり、和やかな中にも熱心な茶話会となりました。また、季節をかえて第2回「レイチェル・カーソン*カフェ」をオープンしたいと思います。
6月13日(土)にご近所の「lifestylecafe wacocoro」さんで上遠さんのお話を聴く会が開かれます。詳細がわかりましたらお知らせします。今回参加できなかった方、ぜひお出かけください。
上遠恵子さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。




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by teal-green | 2015-03-15 22:32 | 村長の日記2015 | Comments(0)


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