おすすめの本『クリスマスのりんご クリスマスをめぐる九つのお話』

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ルース・ソーヤー、アリソン・アトリーほか/文 上條由美子/編・訳 たかおゆうこ/絵 福音館書店 税込1575円

今日はクリスマスイブ。
皆さん、今頃どのようなクリスマスの前の日を過ごされているのでしょうか?

クリスマスイブの今日は、今回たくさんの原画を展示している『クリスマスのりんご クリスマスをめぐる九つのお話』を紹介します。表紙の絵は九つのお話に登場する人や動物が勢揃いしていて見入ってしまいます。美しい絵です。
この本は、ソーヤー、アトリー、エインズワースなど物語の名手たちが紡ぎだすクリスマスの短編集です。楽しいお話、かわいいお話、クリスマスにおこる奇跡のお話など、心あたたまるお話が九つ入っています。そんな中で私がとくに好きなのが、本の題名にもなっている「クリスマスのりんご」です。

 むかし、ドイツのある町に、ヘルマン・ジョゼフという、年とった時計作りがいました。ヘルマンは小さな家に住み、つましい生活をしていましたが、時計だけはたくさんありました。
へルマンは年をとって、背中が曲がり、おかしな姿をしていましたが、子どもたちはやさしい顔をしたヘルマンが大好きでした。ヘルマンはどんなに仕事がいそがしくても、子どもたちの壊れたおもちゃやお人形の修理をしてあげていたのです。お礼のお金ももらわずに。
 
 ずっと昔から、その町に住む人たちは、クリスマスになると、大聖堂の聖母マリアとおさな子イエスに、贈り物を捧げるのが習わしになっていました。人々はその日に素晴らしいものを持っていけるように、一年の間お金をためていました。そして、人々の間では、他の贈り物よりも、おさな子イエスを喜ばすものがあると、イエスはマリアさまの腕の中から身を乗り出して、その贈り物をおとりになるという言い伝えがありました。

 ヘルマンもいつか贈り物を持っていきたいと思い、密かに作っている時計がありました。長い時間をかけて苦労して作りました。その年はふつうの時計を作るのをやめてクリスマスに間に合うように作りました。売りものの時計がなくなったので、食べるものもなくなっていきました。でも、出来上がった時計は美しい時計でした。

 とうとう、クリスマスの、前の日になりました。朝から何も食べていないヘルマンは、さいごのお金で、クリスマスのりんごをひとつ買いました。その時、隣の家の子どもがおとうさんが怪我をしてツリーやお菓子やおもちゃを買うためのお金がなくなってしまったと言って泣いていました。それをきいたヘルマンは、贈り物の時計を手放すことにしたのです。

 残っているのはクリスマスのりんごだけ。ヘルマンは、自分の二日分の夕飯となるりんごをイエスさまに持っていくことにしました。祭壇の前にはたくさんの素晴らしい贈り物が山と積まれていました。そんな中、ヘルマンが手にクリスマスのりんごをしっかり握り、祭壇への通路を歩いていくと、「恥知らず!」という人々のことばが聞こえてきました。ヘルマンは、深くうなだれ、よろよろと祭壇までの階段を上がっていくと・・・

 困った人や子どもたちをやさしく、毎日、毎時間、祈ることを忘れないヘルマンが捧げたクリスマスのりんごは、どんな素晴らしい高価な贈り物にもまして貴いものだったのです。ヘルマンの毎日の生き方をおさな子イエスはちゃんとみていて奇跡をおこしてくれたのです。

クリスマスイブの今夜、このお話をもう一度読みたいと思います。

よいクリスマスをお迎えください。

e0016830_23582914.jpg今回の「クリスマスのしごと」によせて、たかおゆうこさんにアンケートに答えていただきました。
*子どもの頃のこと *絵本のこと *クリスマスのこと *みなさんへ
クリスマスの絵本や本のお仕事が多いたかおさん。
「私はクリスチャンではありませんが、昔からクリスマスに縁があると感じています。そしてクリスマスを思う時、厳かでやさしい気持ちになります。生きていると、毎日が楽しいことばかりではありません。憂鬱で重たいものを背負っている時もありますし、失ったものを思う日もあります。でも、クリスマスの日だけはそんなことをしばし忘れて、生きていることをまわりの人に感謝する日であったらなあと思うのです。メリークリスマス!」
素敵なことばをありがとうございます。

今日、とっても嬉しいことがありました。
21日のおはなしの会「ろうそくの光による 影絵」に参加して下さった4歳の男の子のお母さまから、嬉しいお話を聞かせていただきました。影絵がとても印象に残ったようで、帰り道で一言「大きくなったら、影絵をして、みんなを喜ばせる人になりたい〜!」とemoticon-0137-clapping.gif
たかおさんと多賀さんの影絵、息もぴったりで本当に素敵でした。
4歳の子にもお話の世界の楽しさが伝わり、そして、皆が喜んでいることもしっかり伝わったのですね。
私にとって、なにより嬉しいクリスマスプレゼントでした。
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by teal-green | 2013-12-24 20:46 | おすすめの絵本 | Comments(0)


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